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【2025年厳罰化】不法就労助長罪とは?罰則内容と企業が取るべき対策を徹底解説

日本国内の人手不足を背景に、外国人材の活用は今や企業成長に欠かせない戦略となっています。しかし、その一方で企業の存続を揺るがしかねない致命的なリスクが「不法就労助長罪」です。この罪の恐ろしい点は、意図的な悪意がなかったとしても、企業の「確認不足」や「知識不足」という、いわゆる「過失」によっても処罰の対象となるという点にあります。

特に、2025年6月からは法改正による厳罰化が施行され、罰則の法定刑が大幅に引き上げられました。企業の代表者や採用担当者が刑事罰を受けるだけでなく、5年間にわたる外国人雇用の禁止など、経営基盤そのものを崩壊させるペナルティが課される時代に突入しています。本記事では、不法就労助長罪の法的定義から、実際に摘発された過去の違反事例、そして最新の厳罰化情報まで、実務に必要な情報を徹底的に網羅して解説します。

1. 不法就労助長罪の法的定義と該当する具体的3パターン

不法就労助長罪入管法第73条の2)は、外国人が適法な在留資格を持たずに働くことを手助けした者(雇用主、あっせん業者など)を処罰する規定です。具体的には以下の3つのパターンが典型例となります。

【不法就労助長罪の対象となる3パターン】

  • 不法滞在者等の雇用:密入国者や、在留期限が1日でも過ぎたオーバーステイ状態の外国人を雇用すること。
  • 就労資格のない外国人の雇用:「短期滞在(観光)」や、就労許可を得ていない「留学」「家族滞在」の外国人を働かせること。
  • 資格外活動・許可範囲外の就労:例えば「事務職」で許可を得た外国人を「工場」や「清掃」などの単純労働に従事させること。

特に見落とされがちなのが「職種」との不一致です。在留資格にはそれぞれ認められた「活動範囲」があり、その範囲を大きく逸脱して働かせることは、たとえ有効な在留カードを持っていても不法就労となります。

2. 【実例解説】実際に摘発された不法就労助長のケース

不法就労助長罪で摘発されるのは、決して反社会的な組織だけではありません。ごく一般的な企業が「確認不足」や「制度の誤解」によって摘発されているのが実態です。

事例①:在留期限の管理不足(建設会社 A社)

雇用していたベトナム人従業員の在留期間が切れていることに気づかず、約半年間にわたり就労を継続させたケース。社長は「本人が更新したと言っていたので信じていた」と主張しましたが、「在留カード現物の確認を怠った」として、法人と社長双方が書類送検され、罰金刑が科されました。

事例②:資格外活動の範囲逸脱(飲食店チェーン B店)

留学生アルバイトを、夏休み期間外にもかかわらず「忙しいから」と週40時間働かせていたケース。入管の立ち入り調査で発覚し、店長だけでなく「適切な管理体制を構築していなかった」として運営会社も処罰されました。留学生本人は退去強制(強制送還)となりました。

事例③:偽造カードを見抜けなかったケース(清掃会社 C社)

精巧に作られた偽造在留カードを持参した外国人を採用。目視では本物に見えたものの、警察の捜査により偽造が判明。会社側は「騙された」と主張しましたが、「ICチップの読み取り確認など、公的に推奨されている真贋確認を行っていなかった」として、過失が認定されました。

3. 【2025年6月施行】厳罰化の詳細と引き上げられた罰則

2024年の法改正を受け、2025年6月より不法就労助長罪の罰則が大幅に強化されました。これは、悪質な雇用主やあっせん業者を撲滅し、健全な労働市場を維持することを目的としています。

【罰則の強化内容(新旧対照)】

  • 改正前:3年以下の懲役 または 300万円以下の罰金
  • 改正後:5年以下の拘禁刑 または 500万円以下の罰金(またはその併科)

この改正は、企業の経営陣にとって「知らなかった」では済まされないレベルの刑事罰です。法人に対しても罰金刑が科される「両罰規定」があるため、一社員のミスが会社全体の存続に関わることになります。

4. 「知らなかった」はなぜ通らない?過失責任と企業の確認義務

不法就労助長罪には「過失責任」が明記されています。「外国人が不法就労者であることを知らなかった」としても、確認を怠ったことに少しでも非があれば処罰されます。

4-1. 入管法における「無過失」の立証ハードル

過失がないと認められるためには、「公的な書類(在留カード等)を確認し、その真偽についても可能な限りの注意を払った」ことを証明する必要があります。現在の実務では、公式の読取アプリを使用していたかどうかが、無過失を証明する大きな分かれ目となります。

5. 雇用形態別の落とし穴:派遣・業務委託・アルバイトの注意点

直接雇用だけでなく、多様な雇用形態に潜むリスクを整理します。

5-1. 人材派遣・紹介での不法就労

派遣会社から送られてきた外国人が不法就労だった場合でも、受け入れ先企業が**「明らかに不自然な状況(在留カードの提示を拒む等)を黙認した」**場合、助長罪に問われることがあります。「派遣会社が確認しているはず」という思い込みは禁物です。

6. 偽造在留カードを見抜く!実務で使える3つの真贋判定法

出入国在留管理庁|「在留カード」及び「特別永住者証明書」の見方

【在留カードの真贋チェック手順】

  • 在留カード等読取アプリの活用:公式アプリでICチップ内の情報を読み取ります。これが最も確実な防衛策です。
  • 「失効番号」の照会:入管のサイトでカード番号が現在有効か即時に照会可能です。
  • 肉眼でのホログラム確認:傾けると色が変化する箇所を確認しますが、アプリとの併用が必須です。

7. 外国人雇用状況報告の徹底:ハローワークへの届出と法的リスク

外国人を雇用・離職させた際のハローワークへの届け出は義務です。これを怠ると30万円以下の罰金が科されるだけでなく、不法就労を隠蔽しているという強い疑いを招く原因となります。

8. 不法就労が発覚した際の企業への社会的・経済的ダメージ

  • 向こう5年間の外国人採用禁止:特定技能等の受け入れ資格を失い、死活問題となります。
  • 公共事業の入札排除:コンプライアンス違反として、公的案件から排除されます。
  • ブランドイメージの崩壊:「不法就労をさせていた企業」として社会的信用を失います。

9. まとめ:2026年以降の外国人雇用における企業の生存戦略

不法就労助長罪は、もはや「知らなかった」という言い訳が通用しない、企業のガバナンスが試される領域です。
2025年からの厳罰化、そして2026年の労働市場において、外国人を雇用するすべての企業は、「徹底した確認」と「継続的な管理」を経営の最優先事項に据える必要があります。適切な管理体制を構築し、自信を持って外国人材との共生を進めていきましょう。

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