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「特定技能」と「特定活動」の違い|移行準備や滞在方法までわかりやすく解説

特定技能での就労を目指す外国人材を受け入れる場合、移行準備として「特定活動」という在留資格で滞在することがあります。「特定技能」と「特定活動」は、在留期間や家族帯同の可否などで違いがあり、それぞれの目的や要件を理解しておくことが重要です。本記事では、両者の違いを整理し、特定技能取得までの準備期間として特定活動を活用する方法や、企業が外国人を採用する際の注意点も含めてわかりやすく解説します。

1. 「特定技能」と「特定活動」の違い

「特定技能」と「特定活動」は、大きく分けると3つの違いがあります。

  1. 目的の違い

  2. 在留期間の違い

  3. 家族の帯同が可能かどうか

以下で、それぞれの違いについて詳しく解説します。

1-1. 「特定活動」と「特定技能」の設立目的の違い

「特定技能」は、日本国内の人手不足が深刻な分野で外国人材を長期間受け入れるために設けられた在留資格です。特定分野での就労や技能向上が主な目的です。

一方で「特定活動」は、特定技能取得に向けた準備期間や一時的な滞在をサポートするための在留資格であり、就労は限定的、または準備活動が中心となります。

企業側も、受け入れ外国人の目的に応じてどちらの資格が適切かを判断する必要があります。

1-2. 在留期間の違い

特定技能では最長5年の在留が認められますが、特定活動は原則として在留期間が短く設定されており、状況に応じて更新されます。移行準備や研修を行うための滞在期間として使われるため、柔軟性があります。

在留資格 最長在留期間 許可される期間
特定技能1号 5年 1年以内
特定技能2号 上限なし(更新可能) 3年、1年、6ヵ月のどれか
特定活動 5年(法務大臣が指定) 5年、3年、1年、6ヵ月、3ヵ月、または個別指定の期間

1-3. 家族帯同可能かどうかの違い

  • 特定技能
    1号では家族帯同は認められませんが、2号を取得すれば帯同が可能です。

  • 特定活動
    原則として家族帯同は認められていません。帯同可能かどうかは活動内容に応じて個別に判断されます。家族帯同が認められるのは、在留目的が長期間で就労可能かつ制度上認められた活動の場合に限られます。

家族と一緒に日本で生活できるかどうかは、外国人材にとって重要な条件です。企業も家族帯同の可能性を踏まえた上で、受け入れ計画を立てることが望ましいでしょう。

家族帯同が認められる例

  • EPAによる看護師・介護福祉士候補者

  • 外国大学卒業者の特定活動(J-Find)

※J-Find:優秀な海外大学卒業者が日本で就職活動や起業準備活動を行うための制度。在留資格「特定活動(未来創造人材)」が付与され、最長2年間の滞在が可能。

2. 「特定技能」とは

特定技能は、2019年4月に創設された在留資格で、日本の人手不足分野(介護、建設、製造業など)において外国人が就労できる資格です。資格取得には技能試験や日本語能力試験の合格が求められ、長期的な就労や専門的な技能習得が目的です。また、受け入れ企業は特定技能外国人の生活や技能向上を支援する義務があり、適切なサポート体制の整備が必要です。

3. 「特定活動」とは

「特定活動」は、前述の通り、外国人のさまざまな入国目的に対応するために設けられた在留資格で、他の在留資格に該当しない特別な活動を行う場合に、法務大臣の許可によって認められます

特定活動は大きく2種類

特定活動は、「告示特定活動」と「告示外特定活動」の2つに分けられます。
告示特定活動は法務大臣が告示によってあらかじめ定めた活動内容に該当する場合の在留資格です。

[告示特定活動の例]

  • ワーキングホリデー(告示5号)
    休暇や観光を目的に入国しつつ、滞在中の旅行・宿泊費などを補うための就労が認められる在留資格です。

  • インターンシップ(告示9号)
    海外の大学に在籍する学生が、学業の一環として日本の企業で報酬を得ながら就業するための在留資格です。

  • 日本の大学卒業者の就労(告示46号)
    日本の大学を卒業し、高い日本語能力を持つ外国人が、その能力を活かして幅広い業務に従事できる在留資格。通常、「特定活動46号」と呼ばれます。

「告示外特定活動」とは、あらかじめ告示で定められていない活動で、法務大臣が個々の事情を踏まえて特別に許可する在留資格です。

[告示外特定活動の例]

  • 就職活動を続けている間の活動

  • 特定技能取得の準備期間中の活動

  • 母国の情勢を考慮した、在留ミャンマー人への緊急避難措置

4. 特定技能の取得準備期間を特定活動で滞在する

特定技能を取得するための準備を行う外国人が、準備期間中も日本に滞在する必要がある場合、「特定活動」の在留資格を申請できます。
この「特定活動」は、特定技能への移行を前提とした在留資格であり、個々の事情や目的に応じて付与されます。主に以下のようなケースで利用されます。

①特定技能「自動車運送業」取得準備期間
特定技能「自動車運送業」を目指す外国人は、トラックやバス、タクシーの運転手として特定技能1号を取得するために、日本の運転免許取得や新任運転者研修の修了が必要です。この準備期間中は、「特定活動」の在留資格で滞在するケースとなります。

②特定技能「建設」取得準備期間
特定技能「建設」を取得する場合、在留資格申請には、受入れ企業が作成した「受入れ計画」(就業条件や支援内容など)の審査・認定が必要です。申請から認定までに時間を要することがあり、既存の在留資格の期限が切れる場合には、「特定活動」の在留資格で滞在するケースがあります。

③特定技能取得への準備期間
特定技能の申請手続きは複雑で時間がかかることが多く、申請前に現在の在留資格の有効期限が切れてしまう場合があります。そのような場合、特定技能の在留資格が取得できるまでの間、「特定活動」の在留資格で滞在することが可能です。

特定技能への移行準備として特定活動を申請する方法

特定技能の取得に向けて準備を進める外国人が、日本に滞在しながら移行手続きを行うためには、「特定活動」の在留資格を申請できます。ここでは、申請の要件や必要書類、注意点について解説します。

申請できる主な要件

以下の条件を満たす外国人が、特定技能への移行準備として「特定活動」を申請できます。

  • 技能実習などを修了しており、今後特定技能に変更する計画があること

  • 受入れ企業との雇用契約や「受入れ計画」の認定・審査の完了を待っていること

  • 特定技能試験の結果や必要書類の準備が整っておらず、やむを得ず在留資格の変更をすぐに行えないこと

  • 申請時点で、特定技能として働く意思が明確であること

特定活動で滞在している間に、特定技能取得の要件を満たすことで、スムーズに在留資格を移行できます。

技能実習から特定技能への変更についてはこちらもご参照ください。
技能実習から特定技能への在留資格変更は可能?手続きと条件をわかりやすく解説

特定活動申請に必要な書類

特定技能への移行準備を目的として「特定活動」を申請する際には、以下の書類が必要です。

必要書類例

  • 在留資格変更許可申請書
     申請が「特定活動」への変更であることを明確に記載すること。

  • 申請理由書
     なぜ特定活動が必要か、具体的な移行スケジュールや準備内容、今後の見通しなどをまとめること。

  • 技能実習修了証明書、または特定技能試験の申込書・合格証明書など

  • 受入れ企業からの雇用内定通知書や、受入れ計画が認定申請中であることを示す書類

  • パスポート・在留カード(原本)

  • その他、状況に応じて入管から求められる追加書類
     例:技能実習修了後の活動履歴や生活状況の説明書、本人や受入れ企業による銀行残高証明、経費負担に関する誓約書など


▶️ 申請には企業の協力も必要

「特定活動」への変更申請には、企業側が用意する書類が含まれるため、受入れ企業の協力が不可欠です。

具体的には、雇用内定通知書や受入れ計画、支援体制に関する説明書など、申請者と企業との関係や今後の就労予定、サポート内容を示す資料の作成が必要です。これらは申請者本人だけでは準備できないため、企業と連携して進めることが求められます。


▶️ 移行準備として特定活動で滞在する場合の注意点

特定技能への移行準備期間を「特定活動」で過ごす場合には、以下の点に注意してください。

  1. 「特定活動」での滞在は原則6カ月以内です。準備や手続きは期間内に完了できるよう計画を立てましょう。

  2. 移行準備が目的で認められる在留資格のため、他の活動(アルバイトなど)は原則できません。

  3. 特定技能への在留資格変更は、「特定活動」の在留期間内に必ず申請する必要があります。期間を過ぎると不法滞在になる可能性があります。

  4. 「特定活動」への申請は個別審査で判断されるため、必ず許可されるとは限りません。

  5. 特定活動で滞在した期間も、特定技能1号の最長5年間の在留期間に含まれます。

移行準備としての「特定活動」は、受入れ企業で特定技能として働くことを前提に付与される在留資格です。そのため、滞在中は原則として申請先の企業以外での就労は認められません

5. まとめ:在留資格を理解したうえで、外国人の採用がおすすめ

「特定活動」にはさまざまな種類があり、それぞれ目的や適用条件が異なります。一方で「特定技能」は、就労を目的とした外国人受け入れに特化した在留資格であり、特定活動とは性質が異なります。これらの在留資格の違いや要件をしっかり理解したうえで、外国人の採用や受け入れを進めることが大切です。

  • 採用前に資格要件を確認する
  • 移行準備期間を見越した受け入れ計画の策定
  • 日本語能力や技能研修の計画を組み込む

こうした準備を行うことで、企業側も外国人材も安心して就労や生活をスタートできます。
参考記事:在留資格変更許可申請の詳しい手順と必要書類

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