JLPT(日本語能力試験)は、日本語を母語としない方の日本語能力を総合的に評価する国際的な資格です。留学や就職、在留資格取得、キャリアアップなど、幅広い目的で活用されており、企業や学校でも認知度が高い試験です。本記事では、JLPTの各級の特徴や難易度、合格基準、受験者数、申し込み方法、日本語検定との違い、さらに外国人採用や特定技能在留資格での活用方法まで、元記事の目次構成を正確に保持しつつ、具体例や統計、ケーススタディを加えて詳しく解説します。
1. 日本語能力試験(JLPT)とは
日本語能力試験(Japanese-Language Proficiency Test、略してJLPT)は、日本語を母語としない学習者の日本語運用能力を総合的に評価する国際的な資格試験です。
1984年に国際交流基金と日本国際教育支援協会によって設立され、現在では世界60か国以上で実施され、年間100万人以上が受験しています。
試験は文字・語彙・文法・読解・聴解の5分野から構成され、受験者の日本語理解力を多角的に測定します。JLPTは、留学や就職、在留資格取得、キャリアアップなどさまざまな場面で活用できるため、外国人にとって非常に重要な資格です。
また、国内外の企業や学校でも認知度が高く、履歴書や入学願書に取得級を記載することで、客観的な日本語能力の証明として利用されます。さらに、日本語学習者にとっては学習の到達目安としても機能しており、自身の成長度合いを確認する指標としても重宝されています。
どんな人が受験する?
JLPTの受験者層は非常に幅広く、主に以下のような人々が受験しています。
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特にN2以上の級はビジネスや学術分野で高く評価されます。
企業では顧客対応や社内コミュニケーション能力の指標として使用されることが多く、留学先の学校では授業理解や成績評価に影響することがあります。また、N4合格が特定技能在留資格取得の条件となる場合もあり、職場での基本的なコミュニケーション能力の証明としても重要です。
さらに、JLPTは世界的に認知されているため、日本国内だけでなく海外でも評価されることが多く、国際的なキャリア形成にも役立ちます。
日本語能力試験の受験要件
JLPTを受験するにあたり、年齢や国籍に制限は一切ありません。つまり、子どもから高齢者まで、世界中どの国の方でも受験が可能です。また、日本国籍を持っている場合でも、日本語を母語としない方であれば受験できます。たとえば、海外で長期間生活し、初等・中等教育を日本語以外で受けていた方や、家庭内で母語として日本語を習得していない方も対象です。
さらに、日本語を母語とする方でも、特定の目的で受験するケースがあります。代表例として、日本の国家資格試験を受験するために必要な日本語能力を証明する場合や、海外在住で日本語教育を受ける機会が限られていた方が、自己の日本語力を正式に評価・証明するために受験することがあります。
このようにJLPTは、国籍や年齢に関係なく、幅広い学習者が利用できる試験であるため、キャリアや学業、在留資格取得など多様な目的に応じて活用されています。
日本語能力試験と日本語検定の違い
「日本語能力試験」と似た名前の試験として「日本語検定」という資格も存在しますが、この2つは目的や対象者がまったく異なります。
「日本語能力試験」は、日本語を母語としない学習者向けに設計されています。自国で育った外国人はもちろん、海外で生まれ育ち、子どもの頃にほとんど日本語を使わなかった日本人も受験対象に含まれます。試験は主に文字・語彙・文法・読解・聴解の5分野から成り、実務や学業で必要な日本語能力を測ることを目的としています。
一方、「日本語検定」は、日本語を使うすべての人を対象としています。試験では漢字、表記、敬語、言葉の意味、語彙、文法の6領域の習熟度を測る問題に加え、文章全体を理解する読解問題も出題され、総合的な日本語運用力を評価します。これにより、母語話者・学習者を問わず、日本語力の正確さや表現力を客観的に示すことが可能です。
2. 日本語能力試験の難易度とレベル構成
日本語能力試験(JLPT)は、学習者の日本語理解度に応じて5つのレベルに分かれています。これにより、自分の日本語能力を客観的に把握できるとともに、学習目標を設定するための指標としても利用できます。
N1 | 高度な日本語能力を持つことを示す級で、新聞・専門書・講義など幅広い場面で使用される日本語を理解できるレベルです。仕事や学術活動など、専門性の高い場面でも十分に対応可能です。 |
N2 | 日常生活で使われる日本語はもちろん、それ以外の一般的な場面でもある程度理解できるレベルです。ビジネスや生活で必要な会話の理解・文章読解に支障がありません。 |
N3 | 日常生活での会話や文章をある程度理解できる中級レベルです。日常業務や簡単な読み書きには対応できますが、専門的な内容や高度な文章には理解が難しい場合があります。 |
N4 | 基礎的な日本語の理解が可能な初級レベルです。日常生活での簡単な会話や、よく使う表現・文法・語彙の理解が求められます。特定技能在留資格を取得するための最低ラインとしても利用されます。 |
N5 |
最も基礎的なレベルで、簡単な日本語を理解できることを示します。日常生活でのあいさつや基本表現を理解できる段階です。 |
N1:幅広い場面で使用される日本語の理解力
N1レベルは、さまざまな場面で使われる日本語を正確に理解できることが求められます。合格するためには、日常会話だけでなく、多様な表現や高度な言い回しも理解している必要があります。ビジネス会話や敬語・丁寧語、公式文書や報告書の内容も読み解ける能力が必要です。なお、N1は日本語を母語とする人にとっても、満点取得が難しいレベルといわれています。
- 読む力:論理的に構成された文章や抽象度の高い文章、専門的な内容を含む文章まで理解できます。
- 聞く力:日本語を母語とする人にとって自然なスピードの会話やニュース、講義なども理解可能です。
N2:日常で使われる日本語を理解でき、それ以外の場面でも一定の理解力がある
N2レベルは、日常生活で使用される日本語をしっかり理解できるだけでなく、少し専門的な場面や一般社会でのやり取りでも理解が可能なレベルです。日常会話や一般的なニュース記事、社内文書などを読み解き、会話ややり取りの内容を把握できることが求められます。
- 読む力:新聞や雑誌、会社の通知文や簡単なビジネス文書など、日常的に触れる文章を理解できます。ただし、専門的・高度な表現や複雑な論理構成の文章では、理解に時間や工夫が必要な場合があります。
- 聞く力:日本語を母語とする人が自然に話す会話やニュース、講義の内容をおおむね理解できます。日常生活や職場での会話には十分対応可能ですが、早口の専門的な説明では理解が難しいこともあります。
N2は、外国人学習者や就労者の日本語能力の目安としてもよく用いられます。特に就職活動や業務上のコミュニケーション能力を判断する際に、N2を取得しているかどうかは、日常的な業務や会話の理解力を示す重要な指標となります。
N3:日常で使われる日本語をある程度は理解できる
N3レベルは、日常生活でよく使われる日本語をある程度理解できる中級レベルです。友人や同僚との会話、簡単な案内表示、日常的なメールや手紙などの文章を理解することができます。ただし、専門的な内容や高度な表現、抽象的な文章については理解に限界があります。
- 読む力:日常生活に関連する文章や、簡単なビジネス文書、案内文、メールなどを理解できます。文章の内容を大まかに把握することが可能で、簡単な指示や説明文も理解できます。
- 聞く力:日常生活での会話や、やや速めの会話スピードで話される内容を理解できます。日常のコミュニケーションには十分対応可能ですが、ニュースや講義、専門的な会話では理解が不十分な場合があります。
N3取得者は、職場や学校での日常的なやり取りには問題なく対応できる一方、より高度な日本語の習得や、ビジネスや学術的な場面での活用にはさらに上のレベルが求められます。学習者にとっては、N3を通過点として、日常生活での自信をつけつつ、N2やN1に向けた学習計画を立てる目安となるレベルです。
N4:基本的な日本語を理解できる
N4レベルは、初歩的な日本語を理解できる基礎段階のレベルです。簡単な日常会話や、身近なテーマに関する短い文章を読み聞きできる力が求められます。日本語を学び始めて半年〜1年程度の学習者が到達できるレベルとされ、日本での生活を始める際の最低限のコミュニケーション力を確認する目安となります。
- 読む力:ひらがな・カタカナ、そして基本的な漢字を使った短文を理解することができます。例えば、駅やコンビニ、スーパーなどで見かける案内表示、ポスター、簡単なメモや通知などの内容を読み取れます。
- 聞く力:ゆっくりと話される日常的な会話を聞いて内容を理解できます。たとえば、買い物、食事の注文、自己紹介、簡単な道案内など、生活に密着した会話が中心です。
N4レベルの日本語力があれば、ある程度の会話を通じて自分の意思を伝えることができますが、複雑な文法や長文になると理解が難しくなります。そのため、仕事や学業の現場で日本語を使う場合には、さらなる学習を重ねてN3以上を目指すことが一般的です。
特に「特定技能」の在留資格取得を目指す外国人にとっては、N4合格が必須条件となるケースも多いため、実務的な目標として重要な位置づけとなっています。
N5:基本的な日本語をある程度理解することができる
N5レベルは、日本語能力試験の中で最も初歩的なレベルです。日本語を学び始めたばかりの人が、身近な表現や簡単な単語を理解し、基本的なやり取りができることを確認するための試験です。外国人労働者や技能実習生、留学生の日本語学習の出発点となることが多く、学習の第一歩としての指標となっています。
- 読む力:ひらがな、カタカナ、基本的な漢字を使った短い文を理解できます。たとえば、「これは何ですか」「ここはどこですか」といった非常にシンプルな文の意味をつかむことが可能です。教科書レベルの短文や、簡単な案内、掲示物などの理解も求められます。
- 聞く力:ゆっくり、はっきりと話される短い会話を聞いて内容を把握できます。日常生活の中でよく使う挨拶、自己紹介、数字、時間、日付などのやり取りに対応できます。
N5を取得することで、日本語学習への自信をつけることができ、次のステップであるN4やN3への学習意欲を高めることにもつながります。日本での生活をスムーズに始めるための最低限の日本語能力の証明としても有効です。
このレベルでは、まだ文法や語彙が限られていますが、「日本語で話して理解できた」という成功体験が今後の学習の大きなモチベーションになります。
しかしながら、N5レベルでは日本語での会話は殆ど成立しないので、仕事で日本に来てもらう際には早くN4、N3レベルまで育ってもらいましょう。
日本語能力試験に合格するための条件と基準点の仕組み
日本語能力試験(JLPT)は、N1~N5までの5つのレベルに分かれており、すべてマークシート方式で実施されます。合格するためには、「総合得点が合格点を上回ること」に加え、「言語知識・読解・聴解の3分野すべてで基準点以上を取得すること」が必要です。どれか1分野でも基準点に届かない場合や、受験科目を欠席した場合は不合格となります。このように、JLPTは単に点数だけでなく、バランスの取れた日本語力を示す評価基準として設計されています。
日本語能力試験の合格率
N1は約30%前後、N2は40~50%、N3は50%前後が目安です。受験者の学習環境や地域差もあり、合格率だけで難易度を判断するのは不十分です。模擬試験や過去問を活用して学習することが推奨されます。
レベル | 国内合格率 | 海外合格率 | 合計合格率 |
---|---|---|---|
N1 | 24.3% | 31.7% | 28.7% |
N2 | 26.4% | 38.7% | 33.1% |
N3 | 32.5% | 38.0% | 35.2% |
N4 | 36.3% | 36.3% | 35.6% |
N5 | 59.6% | 48.8% | 49.5% |
出典:2024(令和6)年 第2回(12月)データ | 過去の試験のデータ | 日本語能力試験 JLPT
日本語能力試験の受験者数
日本語能力試験(JLPT)は世界各国で実施されており、受験者数は年々増加傾向にあります。2024年は国内外を合わせると、年間で約140万人以上が受験しています。日本国内だけでも、毎回多くの留学生や日本語学習者が挑戦しており、大学や日本語学校での受験も広く行われています。
海外では、アジア諸国を中心に受験者が多く、特に中国、韓国、ベトナム、インドネシア、フィリピンなどの国々では、日本語学習者が増加しており、JLPTの受験者数も年々増えています。これらの国々では、日本語学習が進むにつれて上級レベルへの挑戦者も増え、N1やN2の受験者数も一定数存在します。
実施年・月 | 実施国・地域数 | 応募者数 | 受験者数 |
---|---|---|---|
2022年12月 | 82 | 506,293 | 431,449 |
2023年7月 | 55 | 698,062 | 602,140 |
2023年12月 | 85 | 782,961 | 663,295 |
2024年7月 | 61 | 793,701 | 680,453 |
2024年12月 | 82 | 925,242 | 790,536 |
3. 日本語能力試験の申し込み方法
日本語能力試験(JLPT)を受験する際の申し込み手続きは、大きく分けて以下のステップで行います。
ステップ
1
登録 |
試験の公式ウェブサイトにアクセスし、「My JLPT」に新規登録を行います。この登録では、氏名や生年月日、住所などの基本的な個人情報の入力に加え、顔写真のアップロードが必要となります。顔写真は受験票に使用されるため、指定されたサイズや形式に従って準備しましょう。 |
2
申込 |
登録が完了すると、IDとパスワードが発行されます。このIDとパスワードを用いて、受験希望レベルや受験地などの情報を入力し、申し込みを確定します。 |
3
支払い |
クレジットカード決済、銀行振込、コンビニエンスストア払いのいずれかを選ぶことが可能です。支払い方法によって、手続きの反映までに時間がかかる場合があるため、余裕を持って手続きを行うことが重要です。 |
また、病気やケガ、障害などにより特別な配慮が必要な場合は、申し込み期間中のなるべく早い段階で「受験上の配慮申請書」を日本語能力試験受付センターから取り寄せ、郵送で提出する必要があります。配慮内容には、点字試験、文字の拡大、座席の配慮、ヘッドフォンの使用、試験時間の延長などが含まれます。こうした手続きを早めに行うことで、試験当日に安心して受験することができます。
配慮申請書の取り寄せや問い合わせは、以下の受付センターに連絡してください。電話での相談も可能です。
日本語能力試験受付センター 出典:日本語能力試験 JLPT |
2025年の試験日程・場所
2025年は7月と12月に国内主要都市および海外現地会場で実施予定です。申し込み締切日や試験会場の情報を確認し、計画的に受験準備を行うことが重要です。
4. 日本語能力試験を受検する目的、メリットは?
就職時に有利
JLPTは企業での採用やキャリアアップにおいて有利です。特に日本国内の就職ではN2以上が求められる場合が多く、履歴書に明記することで書類選考や面接での評価が向上します。顧客対応や社内コミュニケーション能力の証明として活用されます。
在留資格「特定技能」取得のため(N4以上)
在留資格「特定技能」を取得するには、主に二つの試験に合格する必要があります。
ひとつは、申請する分野に関連した専門技能を測る技能試験であり、もうひとつは日本語能力を評価する試験です。
日本語能力の部分については、「日本語能力試験(JLPT)」または「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」のいずれかを受験し、定められた基準レベルに達していることが条件となります。
もし日本語能力試験を選択する場合は、N4レベル以上の合格が必須です。N4は、基本的な日常会話や読み書きができるレベルとされており、生活や業務上の最低限のコミュニケーション能力を証明する目安になります。これにより、特定技能として日本で働く際の言語基盤が確保されます。
なお、技能実習制度を経て特定技能へ移行する場合には、技能実習2号を良好に修了していれば、日本語能力に関する試験は免除されます。つまり、技能実習で十分な経験と日本語運用力を身につけていれば、追加でN4を取得する必要はありません。この仕組みにより、技能実習生から特定技能へのスムーズな在留資格移行が可能となっています。
高度人材ポイント制における日本語能力の加点
在留資格「高度専門職」を取得した高度外国人材は、日本の産業や社会において革新や価値創造をもたらす存在と評価されるため、出入国管理上でさまざまな優遇措置が与えられています。この「高度専門職」の在留資格は、学歴、職歴、年収などの各項目に設定されたポイントの合計が70点以上に達することで取得可能です。
さらに、学歴や職歴などの条件に応じて、追加の加点が行われることがあります。
その加点対象の一つとして、日本語能力試験(JLPT)のN1またはN2取得が含まれています。具体的には、N1を取得すると15点、N2を取得すると10点が加算されます。この加点は、各候補者の高度人材ポイントに反映され、在留資格取得の審査において有利に働きます。
日本語能力は単なるコミュニケーションの手段だけでなく、専門職として日本で活躍するための重要なスキルの一つとして評価されることになります。高度人材ポイント制を理解し、必要な日本語レベルを意識して学習することで、在留資格取得の可能性を高めることが可能です。
資格取得時に必要となる
外国で医学部を卒業した人や医師免許取得者が日本で医師国家試験を受験する場合、JLPT N1の認定が必須です。
歯科医師、看護師、薬剤師、保健師、助産師、診療放射線技師、歯科衛生士、歯科技工士、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、臨床工学技士、救命救急士、言語聴覚士、獣医師、愛玩動物看護士も同様です。
さらに、インドネシア・フィリピン出身の看護師や介護福祉士候補者はN5、日本からのベトナム人候補者はN3以上の取得が求められます。
5. 外国人採用時の日本語能力試験の活用方法と注意点
日本語能力試験の合格と実際の会話力の差
日本語能力試験(JLPT)の各レベルに合格していても、実際の会話力が試験レベルに達していないと感じられることがあります。これは、JLPTがマークシート形式で行われ、リスニングや会話力を直接測定するものではないためです。特に漢字文化圏出身の受験者は、試験問題の文字情報から意味を推測しやすく、筆記での理解力は高くても、実際の口頭でのコミュニケーションに差が出ることがあります。そのため、JLPTの合格はあくまで日本語能力の目安と捉え、実際の会話力やコミュニケーション能力は面接や実務で確認することが望ましいです。
また、会話力自体が高い場合でも、文化や習慣の違いから意思疎通にずれが生じることも少なくありません。しかし、こうしたすれ違いは現場での指導やサポートによって改善可能です。外国人スタッフと円滑にコミュニケーションを図るための具体的な方法については、関連の記事も参考にすると良いでしょう。
日本語能力試験の証明書を確認する重要性
外国人を採用する際には、「日本語能力試験認定結果及び成績に関する証明書」を確認することが有効です。
たとえば、N4の合格基準は180点中90点以上ですが、満点で合格した人とギリギリの90点で合格した人とでは、日本語能力に差がある場合があります。
特に特定技能の在留資格を申請する際には、この証明書が必要になります。一方で、技能実習生から特定技能へ移行する場合、特定技能試験が免除されるため、JLPTの資格を保有していないこともあります。
採用後の日本語教育の必要性
N1やN2レベルの日本語能力を持つ人材であれば、日常業務や基本的な会話に大きな支障はほとんどありません。しかし、N3~N5レベルの人材の場合、採用後に日本語教育や研修を実施することが必要です。
特に、業務上で使用する専門用語や業界特有の表現については、N1レベルでも知らないことがあります。そのため、採用後に必要な知識や用語の教育を行い、スムーズに業務に適応できるように支援することが重要です。
6. まとめ:日本語能力試験の活用ポイント
日本語能力試験(JLPT)は外国人を採用する際には重要な資格の一つです。
外国人材の日本語レベルを把握するための目安として、試験内容やホームページにある問題例を確認しておくと、レベルごとのコミュニケーション能力を大まかにイメージでき、どのレベルの日本語を求めるべきか判断しやすくなります。
ただし、JLPTはペーパー試験の結果に過ぎず、合格しているからといって必ずしも会話力が十分であるとは限りません。そのため、面接や実務の場で実際の日本語でのコミュニケーション能力を確認することが大切です。特に、日常会話や業務上の専門用語の理解力については、試験合格だけでは判断できない部分があります。
さらに、日本語能力が基準に満たない場合でも、本業に関して優れた技能や経験を持つ人材を見送るのはもったいないことです。採用後に日本語教育や研修を通じてスキルを伸ばすことは可能ですので、JLPTの結果はあくまで判断のひとつとして活用し、総合的に外国人材の能力を評価することをおすすめします。
JLPTは外国人採用において有力な指標ですが、ペーパー試験の結果だけで判断せず、面接や研修を通じて実際の会話力や業務適応力を確認することが大切です。取得級は履歴書や在留資格申請、資格試験などで活用でき、就職やキャリアアップに有利に働きます。柔軟に運用し、必要に応じて教育・支援を行うことが採用成功の鍵です。
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