ビザ・在留資格

特定技能2号の業種や取得条件、在留期間、試験情報を徹底解説

日本の深刻な人手不足を背景に、外国人材の受け入れを強化する制度として「特定技能制度」が注目を集めています。その中でも「特定技能2号」は、より高度な技術と豊富な実務経験を持つ外国人が、長期間日本で働き続けられる道を開く在留資格です。

この制度を活用することで、外国人本人はキャリアアップや家族との安定した生活が可能になり、企業側も熟練労働者を継続的に雇用できる大きなメリットがあります。

本記事では、特定技能2号の基本概要から対象業種、取得条件、在留期間の仕組み、さらには必要な試験情報まで、最新の制度改正を踏まえてわかりやすく解説します。特定技能1号との違いや、実務経験・日本語力の要件など、具体的な内容を知りたい方は必見です。

1. 特定技能2号とは

「特定技能2号」とは、特定の産業分野において、熟練した技能を有する外国人労働者に対して付与される在留資格です。2019年に創設された「特定技能」制度の一部であり、「特定技能1号」よりも上位のレベルに位置付けられています。

この制度は、より専門性の高い技術・技能を持つ人材を長期的に受け入れることを目的としており、在留期間の更新制限がなく、永住や家族帯同も可能になる点が大きな特徴です。

当初は建設業と造船・舶用工業の2分野のみが対象でしたが、2023年6月9日より、対象分野が大幅に拡大され、現在は介護を除く11分野が対象となっています。

対象の11分野(2024年時点)

  1. ビルクリーニング業
  2. 工業製品製造業(素形材・産業機械・ 電気電子情報関連製造業)
  3. 建設業
  4. 造船・舶用工業
  5. 自動車整備業
  6. 航空業
  7. 宿泊業
  8. 農業
  9. 漁業
  10. 飲食料品製造業
  11. 外食業

なお、介護分野は対象外であり、引き続き「介護」在留資格が適用されます。

2. 特定技能1号と特定技能2号の違い

特定技能1号と2号では、目的や在留条件などに大きな違いがあります。以下に主な相違点をまとめました。

比較項目 特定技能1号 特定技能2号
在留期間 最長5年(更新可能) 制限なし(更新可能)
技能水準 相当程度の知識・経験 熟練した技能が必要
日本語能力 JLPT N4程度など 分野によって必要(N3以上)
支援計画 受け入れ企業による支援義務あり 支援義務なし
家族帯同 原則不可 配偶者・子どもの帯同が可能
永住の可能性 なし 永住権取得が可能(条件を満たせば)
試験の実施状況 国内外で実施 国内で実施

特定技能1号では在留期間が通算で最大5年間と制限されていますが、特定技能2号では在留期間の更新に上限がなく、長期的に日本で働き続けることが可能です。
さらに、特定技能2号では配偶者や子どもを日本に呼び寄せる(家族帯同)ことも認められており、生活の安定にもつながります。

また、永住権の取得要件に該当する在留資格として認められており、将来的に永住を目指す道が開かれます。
加えて、特定技能1号では義務付けられていた支援計画(生活支援など)の実施も、2号では不要となっており、企業側の負担も軽減されます。

3.特定技能2号取得のメリット

特定技能2号には複数の利点がありますが、特に注目すべきポイントは以下の通りです。

  • 在留期間の更新に制限がなく、長期就労が可能
  • 一定の条件を満たせば、配偶者や子どもの帯同が認められる
  • 特定技能1号からの明確なキャリアパスがあり、将来的なキャリア形成がしやすい
  • 永住権取得に必要な在留要件を満たせる可能性がある

これらの点から、特定技能2号は、外国人にとって日本で長く安定して働くための魅力的な在留資格だといえます。
中でも、家族を日本に呼び寄せて一緒に暮らせるようになることは、将来の不安を大きく軽減する要素です。母国の家族と離れて暮らすことによるストレスや定期的な帰国の必要がなくなり、生活の安定にもつながります。

企業側にとっての利点

雇用主にとっても、特定技能2号を取得した人材は非常に貴重な存在です。
特定技能2号の外国人には、特定技能1号のスタッフや技能実習生への指導・マネジメント、さらに日本人従業員との橋渡し役としての活躍が期待できます。

特に、外国人労働者が多い職場では、文化や言語の違いによるミスやトラブルを軽減し、現場の統率をとる役割を担ってもらうことで、組織運営がスムーズになります。

また、在留期限を気にせず長期雇用が可能になる点も、育成コストの回収や安定した人材配置という面で企業にとって大きなメリットです。

4. 特定技能2号の取得手続き

特定技能2号の在留資格を取得するためには、いくつかの条件を満たしたうえで、出入国在留管理庁へ申請を行う必要があります。

手続きの主な流れ

  1. 特定技能1号での実務経験
    多くの分野では、特定技能1号としての就労経験が前提とされ、特にリーダー補佐や現場監督などの実務経験が2年以上求められます。指導経験や責任ある業務に就いていたことを証明する書類(辞令、業務内容説明書など)が必要です。
  2. 分野別の技能評価試験に合格
    各分野で定められた「特定技能2号評価試験」に合格する必要があります。試験内容は業種ごとに異なり、実技・学科の両方を含むケースが一般的です。試験は原則、日本国内で実施されます。
  3. 日本語能力の証明(分野により必要)
    例えば外食業や漁業分野では、日本語能力試験(JLPT)N3以上の合格が必要です。ただし、他の分野では試験が全て日本語で実施されるため、実質的には日常会話以上の日本語能力が必要とされます。
  4. 出入国在留管理局への申請

以上の条件を満たしたうえで、在留資格変更許可申請を行います。申請時には、雇用契約書、合格証、業務内容証明書、在職証明書などを提出する必要があります。

5. 業種別・試験や実務経験の要件(外食業や自動車整備など)

特定技能2号を申請するには、以下の条件を満たす必要があります。

主な申請要件

分野ごとの特定技能2号試験に合格していること(一部の分野では別の試験が認められる場合もあります)
実務経験があること(多くの分野で「指導」「管理」などの経験が求められ、その内容は分野ごとに異なります)
日本語能力(JLPT N3以上など)が必要な分野もある

2024年9月時点で、多くの分野で特定技能2号の試験が開始されており、今後さらに拡大が見込まれています。

試験を受けるためにも要件があり、特定技能2号の試験を受験するためには、あらかじめ管理や指導などの実務経験が必要とされており、この要件を満たしていなければ受験自体ができません。
ただし、実務経験の年数や内容、証明方法は分野ごとに異なるため、事前に要件をしっかり確認しておくことが大切です。
多くの分野では「2年以上」の実務経験が必要とされており、対象となる外国人にはサブリーダーや副責任者などの現場で役割を担うポジションに就いておくこと**が望まれます。

日本語能力について

一部の分野を除き、特定技能2号の取得にあたり日本語能力は公式な要件に含まれない場合もあります。
しかし、試験は基本的にすべて日本語で実施されるため、一定レベルの日本語理解力(業務に関する用語や指示が理解できる程度)は実質的に必要です。

試験によっては、一部専門用語について他言語での補足があることもありますが、日本語での読解力や記述内容の理解が合否に大きく影響する点は理解しておく必要があります。

外食業の申請要件

外食業分野で特定技能2号の在留資格を申請するには、次の3つの条件を満たす必要があります。

① 「外食業特定技能2号技能測定試験」に合格していること
これは、外食業界で求められる知識や技能を評価する試験で、学科と実技の2科目が日本語で出題されます。すべて漢字にルビはありません。② 日本語能力試験(JLPT)N3以上の取得
日本語での業務遂行能力が求められるため、JLPT N3以上の合格証明が必要です。これは外食業分野に特有の条件で、他分野では必須ではないケースもあります。
③ 飲食店における2年以上の管理実務経験
次のような実務経験が2年以上あることが求められます。
アルバイトや他の外国人従業員を指導・監督しながら、接客業務も含めた現場業務に従事し、副店長やサブマネージャーとして店舗運営を補佐していた経験この経験は、辞令書、職務命令書、シフト表などの文書で証明する必要があります。
特に、「店舗管理の補助をしていたこと」が重要なポイントとされており、要件の中でも比較的ハードルが高い部分といえるでしょう。

試験の詳細は、「一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)」の公式サイトで案内されています。

経過措置について(外食業分野)

2023年6月10日に外食業が特定技能2号の対象分野に加わったことを受けて、実務経験の経過措置が設けられています。

内容
2023年6月10日時点で、特定技能1号としての在留期限の残りが2年6カ月未満である場合は、
通常必要とされる「2年間」の実務経験ではなく、残りの在留期間から6カ月を差し引いた期間の実務経験でも要件を満たすことができます。例:
残りの在留期間が 2年 → 必要な実務経験:1年6カ月
残りの在留期間が 1年6カ月 → 必要な実務経験:1年この措置により、在留期限の都合で通常の実務経験年数を満たせない方でも、特定技能2号への移行が可能となるケースがあります。

飲食料品製造業における特定技能2号の在留資格取得要件
飲食料品製造業分野で特定技能2号の在留資格を申請するには、以下の条件を満たす必要があります。

飲食料品製造業の申請要件

  • 「飲食料品製造業特定技能2号技能測定試験」への合格
  • 2年以上の管理・指導に関する実務経験

この分野では、現場で作業を行いながら、2人以上の作業員(技能実習生や特定技能外国人、アルバイト等)を指導・監督し、工程の管理を担う立場として働いた経験が求められます。
「指導」とは、作業内容や工程について直接または間接的に作業員へ指示や教育を行うことを指します。
また、「工程を管理する者」とは、ライン長、班長、担当部門長などのリーダー的な立場にある人が該当します。

試験に関する注意点

試験は日本語のみで行われ、漢字にふりがな(ルビ)は付いていません。
日本語能力試験(JLPT)などの資格取得は要件には含まれていませんが、試験内容を理解するためには、ある程度の日本語力が実質的に必要です。
試験の申込は、2024年7月時点では企業が行う必要があり、本人による申し込みはできません。

▶ 詳細は農林水産省「特定技能2号技能測定試験について」をご参照ください。

経過措置について(飲食料品製造業分野)

飲食料品製造業分野では、特定技能1号として在留している人の在留期限の残り期間が短い場合に対応できるよう、**実務経験に関する特例(経過措置)が設けられています。

経過措置の内容
2023年6月10日から起算して、特定技能1号の在留期間の上限(5年間)までの残りが2年6カ月未満である場合、
その残存期間から6カ月を差し引いた期間の実務経験があれば、要件を満たしたとみなされます。

具体例
在留期間の残りが 2年 → 必要な実務経験:1年6カ月
在留期間の残りが 1年6カ月 → 必要な実務経験:1年

この救済措置により、在留期限の都合で通常の2年に満たない場合でも、特定技能2号への申請が可能となるケースがあります。

工業製品製造業(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)の申請要件

素形材産業、産業機械製造業、電気電子情報関連製造業のいずれかの分野で特定技能2号の在留資格を取得するには、以下のいずれかのルートを満たす必要があります。

以下①②の両方に合格する、または③に合格する必要があります:

① ビジネス・キャリア検定(3級)の合格
対象区分:
– 生産管理プランニング
– 生産管理オペレーション

② 製造分野特定技能2号評価試験の合格
対象区分:
– 機械金属加工
– 電気電子機器組立て
– 金属表面処理

※①と②の両方の合格が必要です。

③ 技能検定1級に合格していること(①②は不要)
対象職種(一部例):
鋳造、鍛造、ダイカスト、機械加工、金属プレス加工、鉄工、工場板金
めっき、アルミニウム陽極酸化処理、仕上げ、機械検査、機械保全
電子機器組立て、電気機器組立て、プリント配線板製造、プラスチック成形、塗装、工業包装

実務経験については3年以上の実務経験がすべての申請ルートで必要です。
②の「製造分野特定技能2号評価試験」を受験する際は、試験申込時に「実務経験証明書」の提出が必要です。
③の「技能検定1級」のルートで申請する場合は、出入国在留管理庁に提出する際に実務経験証明が求められます。

試験の詳細やスケジュールは、経済産業省製造分野特定技能2号評価試験概要の公式ページにて確認できます。

農業分野の申請要件

農業分野で特定技能2号の在留資格を取得するには、以下の要件を満たす必要があります。

主な要件
・「農業技能測定試験2号」への合格
試験は「耕種農業」または「畜産農業」のいずれかの区分で実施され、日本語で出題されます。以下のいずれかの実務経験があること
① 現場で複数の作業員を指導・監督しながら業務に従事し、工程を管理する立場で2年以上の経験がある
② 指導や管理の経験はなくても、現場での業務経験が3年以上ある※農業分野は、管理経験がなくても3年以上の実務経験があれば受験可能である点が特徴です。

試験について
試験の難易度は、国内で7年以上の実務経験がある人でも約3割程度の合格率となっており、一定の専門知識と日本語力が求められます。
出題言語は日本語のみで、読み取りが必要な問題が多く含まれています

試験の申込と証明書類について
外国人本人による申込が可能ですが、受験には実務経験を証明する企業側からの書類提出が必要です。
企業は、実務経験年数や従事内容を正確に証明できるよう、あらかじめ準備しておくことが望まれます。

▶ 詳細はこちら:
農業技能測定試験2号|プロメトリック公式ページ

建設分野の申請要件

建設業で特定技能2号の在留資格を申請するには、以下の条件を満たす必要があります。

①以下のいずれかの試験に合格していること
– 特定技能2号評価試験(建設技能人材機構が実施)
– 技能検定1級(対象職種における国家資格)②国土交通省が定める期間以上の実務経験を有すること
– 班長や職長などの立場で複数人を指導しながら現場で作業を行っていた経験が必要です。
– 実務経験の必要年数は、職種や区分ごとに0.5年~3年と細かく設定されているため、該当職種に応じて確認が必要です。

注意点
実務経験を証明する書類(経験証明書や職務内容を記載した書類など)は、申請時に提出が必要です。
指導的立場での実務経験が要件となるため、単なる作業員としての経験では認められない場合があります。

▶ 詳しくは:
建設分野特定技能の評価試験情報と申込み|建設技能人材機構(JAC)

ビルクリーニングの申請要件

ビルクリーニング分野で特定技能2号の在留資格を取得するには、以下の2つの要件を満たす必要があります。

①以下いずれかの試験に合格していること
– 「ビルクリーニング分野特定技能2号評価試験」
– 「ビルクリーニング技能検定1級」②現場管理の実務経験が2年以上あること②現場管理の実務経験が2年以上
– 実務経験は週30時間以上の労働時間があることが条件となっており、
技能実習制度でのビルクリーニング作業経験は対象外です。
– 受験には、実務経験を証明する証明書類の提出が必要であり、受入機関(雇用企業など)の協力が必須です。

試験は外国人本人による個人申込みが可能です。
日本語能力試験の合格は必須ではありませんが、記述式問題を含むため、高い日本語読解力・記述力が求められます。

▶ 詳しくはこちら:
特定技能|ビルメンWEB(全国ビルメンテナンス協会)

造船・舶用工業分野の申請要件

造船・舶用工業分野で特定技能2号の在留資格を申請するには、以下の条件を満たす必要があります。

①以下2つの試験に合格していること
– 「造船・舶用工業分野特定技能2号試験」
– 「技能検定1級」
②監督者としての2年以上の実務経験
– 現場において複数の作業員を指揮・命令・管理する立場としての実務経験が必要です。

※現在(2024年時点)は、試験が実施されているのは「溶接」区分のみです。
【申請時の注意点】
実務経験の証明には、外国人本人に加え、受け入れ企業が署名・提出する誓約書が求められます。
在留資格の申請時に必要となるため、書類の準備は早めに行いましょう。

▶ 詳しくはこちら:
特定技能2号試験(溶接)の実施|一般財団法人日本海事協会

自動車整備分野の申請要件

自動車整備分野で特定技能2号の在留資格を申請するには、以下のいずれかのルートで要件を満たす必要があります。

①以下のいずれかの試験に合格していること
– 「自動車整備分野特定技能2号評価試験」
– 「自動車整備士技能検定試験 2級」②実務経験の要否(試験ルートによって異なります)
– 「特定技能2号評価試験」ルートの場合:
→ 地方運輸局長の認証を受けた整備事業場で3年以上の実務経験が必要
– 「自動車整備士技能検定2級」ルートの場合:
→ 実務経験は不要

【試験概要】
「自動車整備分野特定技能2号評価試験」は、2024年7月16日より全国で開始
試験は学科試験と実技試験の2科目で構成され、両方の合格が必要
試験は毎日実施され、合格発表は月2回行われます

▶ 詳しくはこちら:
特定技能評価試験|一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会(JASPA)

航空分野の申請要件

航空分野で特定技能2号の在留資格を申請するには、従事する業務区分によって以下の要件を満たす必要があります。

【1. 技術に関する要件】
空港グランドハンドリング業務
→「航空分野特定技能2号評価試験」に合格すること航空機整備業務
→以下のいずれかに合格すること
・「航空分野特定技能2号評価試験」
・「航空従事者技能証明」【2. 実務経験に関する要件】
空港グランドハンドリング業務
→ 現場において他の技能者を指導しながら作業に従事した経験が必要航空機整備業務
→ 航空機整備の現場で、専門的な知識と技術を要する業務を3年以上経験していること

【補足】
各要件はすでに公開されていますが、特定技能2号の試験(評価試験)はまだ実施されていません(2024年7月時点)。
試験開始時期や試験要項の詳細は、今後の公表を待つ必要があります。

宿泊分野の取得要件

宿泊分野で特定技能2号の在留資格を申請するには、以下の条件を満たす必要があります。

【1. 試験への合格】
宿泊分野特定技能2号評価試験への合格が必須です。
試験はすでに実施されており、国内では毎月開催されています。また、海外試験も開始されています。【2. 実務経験】
宿泊施設において、複数の従業員を指導しながら、フロント業務、企画・広報、接客、レストランサービスなどの業務に2年以上従事した経験が必要です。上記の業務は、一部に偏らず幅広く経験していることが望ましいとされています

【補足】
試験申し込み前に、「宿泊業技能試験センター」指定の実務経験証明書を提出する必要があります。
提出は企業からの協力が不可欠であり、本人だけで完結するものではありません。

宿泊分野特定技能2号評価試験|プロメトリック公式サイト

【経過措置について】

2023年6月9日に宿泊分野が特定技能2号の対象になったことを受けて、要件決定前の在留者への特例措置が設けられました。
この日以前から特定技能1号で宿泊分野に在留していた外国人については、その期間を2号に必要な実務経験としてカウントできるとされています。
※ これは「要件が整う前は準備ができない」という事情を考慮した救済措置です。
在留期限が迫っている場合などには、この措置を活用しての申請・受験が可能です。

漁業分野の申請要件

漁業分野で特定技能2号の在留資格を取得するには、以下の条件を満たす必要があります。
※ 区分によって試験内容が異なるため、注意が必要です。

【1. 技能試験への合格】
漁業:
⇒「2号漁業技能測定試験」への合格が必要です。
養殖業:
⇒ 同様に「2号漁業技能測定試験」への合格が必要です。試験は2024年7月1日より実施開始されています。【2. 日本語能力】
日本語能力試験(JLPT)N3以上の合格が求められます。
※これは他分野と比べても少しハードルが高く、しっかりした準備が必要です。【3. 実務経験(区分ごとに異なる)】
漁業区分:
漁船法に基づいて登録された漁船において、
– 操業を指揮・監督する者を補佐する経験、または
– 作業員を指導しながら工程を管理する経験が2年以上必要です。養殖業区分:
漁業法・内水面漁業の振興に関する法律に基づく養殖業の現場において、
– 養殖を管理する者を補佐する経験、または
– 作業員の指導および作業工程の管理経験が2年以上必要です。

試験はすでにスタートしており、今後も随時実施される予定です。
JLPT N3以上の日本語力が要件に含まれているため、受験予定者は日常会話以上の日本語能力を身につけておくことが大切です。

▶ 試験の詳細はこちら
在留資格「特定技能」漁業技能測定試験|大日本水産会

特定技能2号の取得にかかる費用

特定技能2号を取得するには、試験の受験料や合格証明書の発行手数料などが必要です。
受験料は1万円以上かかるケースが多く、合格証明書についても無料の分野がある一方で、1万円を超える場合もあります。手取り収入や仕送りのことを考えると、これらの費用を自己負担で捻出するのは容易ではありません。特に不合格となり再受験が必要な場合、受験料だけで3万円程度になることもあります。

また、在留資格の変更手続きを行政書士などに依頼する場合は、別途で費用が発生します。
こうした点を踏まえ、受験の準備は計画的に進めることが重要です。

分野 受験料(税込) 合格証明書交付手数料
外食業 14,000円 結果通知書を自身で印刷
飲食料品製造業 15,000円 結果通知書を自身で印刷
製造分野 15,000円 15,000円
宿泊 15,000円 12,100円(企業が納付)
ビルクリーニング 16,500円 11,000円
農業 15,000円 結果通知書を自身で印刷
漁業 15,000円 結果通知書を自身で印刷
自動車整備 4,800円 16,000円
航空

※未実施

建設 2,000円 結果通知書を自身で印刷
造船・舶用工業(溶接) 48,400円

96,800円

6. 特定技能2号の注意点

特定技能2号の外国人を採用するにあたっては、いくつかの重要な注意点があります。以下にそのポイントを紹介します。

1. 試験の申し込みは企業主体で進める場合が多い

特定技能2号の試験は、分野によっては外国人本人が申し込めない場合があり、企業からの申し込みが必須となっているケースもあります。また、個人で申し込める試験であっても、実務経験証明書などの提出が必要であり、その証明書は企業が用意しなければなりません。試験の申込段階から、企業が主体的に関わる必要があることを理解しておきましょう。

2. 実務経験は原則2年以上、在留期限にも注意が必要

多くの分野では、管理・指導の実務経験が2年以上求められます。一方で、特定技能1号の在留期限は通算5年と決められているため、就労開始から時間が経ってからポジションが変わったり、分野や企業を変えて再スタートした場合、実務経験の年数を満たせない可能性があります。特定技能1号から2号への移行を見据えるなら、雇用側も計画的に役職や業務内容を設定することが重要です。

3. 前職企業との関係性も合否を左右する

実務経験の証明には、現職の企業だけでなく前職の企業からの証明書が必要になる場合もあります。転職によって実務経験の一部が前職にある場合、その会社から証明書を取得できないと申請が不可能になるおそれもあります。特に、トラブルによる離職や連絡不能になったケースでは大きな障害となり得ます。そのため、特定技能1号の段階から、企業と良好な関係を築いておくことが、将来的な2号取得にも直結します。

4. 実務経験証明書の交付依頼には柔軟に対応を

現職の外国人だけでなく、過去に雇用していた元従業員から実務経験証明書の発行依頼を受ける場合もあります。証明書の作成はそれほど時間のかかるものではないため、できる限り丁寧に対応してあげると、円滑な制度運用にもつながります。経済産業省をはじめとする関係省庁も、過去に雇用していた外国人への証明対応を企業に求めています。

▶︎参照 特定技能制度の製造三分野に特有の事情に鑑みて定める基準の改正について

特定技能2号の取得においては、外国人本人だけでなく、企業の役割や協力が不可欠です。受験や申請の各段階で必要な書類や手続きは多く、関係機関からの通知やガイドラインを正確に把握しておくことが求められます。特定技能1号の外国人を2号に移行させる予定がある場合は、早めに要件やキャリアプランを確認し、計画的な対応を心がけましょう。

7. まとめ

特定技能2号は、1号と比較してより高度な技能や管理・指導に関する実務経験が求められます。試験や書類の要件も厳格で、外国人本人の努力だけでなく、受け入れ企業の協力が不可欠です。

対象分野が拡大したことで、長期的な在留やキャリア形成が可能となり、今後ますます多くの外国人が特定技能2号の取得を目指すと予想されます。しかし、取得要件には2年以上の実務経験や特定のポジションでの業務履歴などが含まれており、準備が不十分なまま申請時期を迎えてしまうと「要件を満たしていなかった」と気づくケースも起こり得ます。

こうした事態を防ぐためにも、早い段階から計画的に準備を始めることが重要です。企業側も、特定技能1号で就労している外国人の将来的なキャリアプランや希望をしっかり把握し、適切なポジションや役割を与え、2号への移行に向けたサポートを行うことが求められます。

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